注2:CDとは、cluster of differentiationの略。T細胞などの免疫機構を形成する細胞の表面に存在する、機能的に重要な分子を分類するのに用いられる。CD抗原分子は、モノクローナル抗体で検査される。
フクロウは、歯を持っています
注3:TCRとは、T cell receptorの略で、T細胞受容体(T細胞抗原受容体、T細胞抗原レセプター)のこと。大多数のT細胞(αβT細胞)のTCRは、α鎖(Vα、Jα)とβ鎖(Jβ、Dβ、Vβ)で構成される(TCR2)。
α鎖もβ鎖も、抗原と結合する免疫グロブリンと同様に、可変領域(V領域)とコンスタント領域(C領域)から構成されている。TCRをコードする遺伝子は、免疫グロブリンの遺伝子と同様に、再構成(gene rearrangement)され、多様な抗原に特異的に反応する。
胸腺では、自己反応性T細胞を、除去する:胸腺にやって来た、未分化なT細胞は、選択を受け、胸腺の抗原提示細胞(HLA+自己抗原)と、適切な親和性を有する細胞(クローン)は、分化・成熟する。胸腺の抗原提示細胞(HLA+自己抗原)と強く反応する細胞(親和性が高いクローン:自己反応性が強いクローン)や、反応が弱い細胞(親和性が低いクローン)は、死滅させられる。未分化なT細胞の内、未分化なT細胞の98%以上は、死滅(アポトーシス)させられる。
胸腺で、α鎖とβ鎖を構成したT細胞は、末梢血、リンパ節、脾臓などに分布する。
γ鎖とδ鎖で構成されるTCR(TCR1)を有するT細胞も、存在する。このTγδ細胞(γδT細胞)は、末梢血やリンパ節では、 リンパ球の1〜5%しか存在しないが、皮膚や小腸の上皮や粘膜では、T細胞の50%以上を占める。Tγδ細胞もCD16を発現するものも多く、MHC拘束性も見られず、NK細胞様、ADCC様の細胞機能を持ち得る。Tγδ細胞は、Th1細胞への分化を抑制すると考えられている。γδT細胞(Tγδ細胞)は、主に、肝類洞内で分化する。
胸腺外分化T細胞(Tγδ細胞)は、NK細胞と同様に、Cd56、CD57が陽性。
胸腺は、えら呼吸上皮下にあるリンパ球集合が発達した。
そもそも、リンパ球は、マクロファージ(単球)から進化して来たと考えられている。
1.マクロファージ(単球)→
2.NK細胞(CD2+CD3-TCR-、CD161+、IL-2Rβ+LFA-1+のLGL)→
3.NKT細胞(CD3+、TCRは一種類+、 CD161+)→
4.γδT細胞(Tγδ細胞:胸腺外分化T細胞:CD2+CD3+TCR+でIL-2Rβ+LFA-1+のLGL)→
5.αβT細胞(胸腺由来T細胞:CD2+CD3+TCR+でIL-2Rβ-LFA-1-:IL-2RβやLFA-1は、必要時にのみ発現する)
と分化したと考えられる。
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注4:表面にIgM、IgD、CD40陽性のB細胞は、CD4、CD154陽性のTh1細胞と反応する(抗原を、B細胞から、ヘルパーT細胞のTCR・CD3複合体に、提示される)。
ヘルパーT細胞から、IL-4が産生されると、B細胞は、IgG1やIgEを産生するようになる。ヘルパーT細胞から、IFN-γが産生されると、IgG2aやIgG3が産生されるようになる。ヘルパーT細胞から、TGF-βが産生されると、IgG2aやIgAが産生されるようになる。
注5:リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞など)、単球は、末梢血の塗沫標本では、丸い形をしているが、実際には、リンパ球や単球には、頭部と下部(尾部)が存在し、プレート内で培養すると、図のように、突起を出したりして、極在し た姿を示す。
注6:炎症性サイトカインとしては、TNF-α、IL-1β、IL-6、IFNγ、IL-8が存在する。炎症性サイトカインは、活性化マクロファージや活性化血管内皮細胞から、産生される。
抗炎症性サイトカイン(抑制性サイトカイン)としては、IL-4、IL-10、TGF-βが存在し、活性化マクロファージなどから、産生される。なお、活性化マクロファージは、抗炎症作用のあるプロスタグランジンのPGE2をも、産生する。
T細胞サイトカインとしては、Th1細胞(TH1)から、感染症の際に、IL-2、IFNγが、産生され、Th2細胞(TH2)から、アレルギーの際に、IL-4、IL-5が、産生される。
注7:Toll-like receptor (TLRs)は、マクロファージ(Mφ)や樹状細胞に存在し、病原体(細菌やウイルスなど)に特異的な蛋白、DNA、RNAを認識する。その結果、細胞内シグナル伝達経路が活性化され、炎症性サイトカインや、インターフェロンが、産生される。Tollは、ハエ(蝿)の遺伝子で、真菌の侵入を察知して、活性化シグナルを伝達し、感染防御反応を誘導する。
Toll-like receptor (TLRs)の他に、細胞表面には、補体C3レセプター、Mannose receptor、Scavenger receptorなどが、存在し、侵入した病原体(細菌やウイルスなど)の侵入を、認識する。
Mannose receptorは、細胞表面のレクチンであり、病原体表面(表層)の糖(糖鎖のマンノース)と結合する:Mannose receptorは、細菌、真菌、ウイルス感染細胞、寄生虫の表面の抗原(糖鎖のマンノース)と、結合する。
Scavenger receptorは、リポ蛋白や、リポ多糖(LPS)など細菌の表面に存在する糖脂質とも、結合する。
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マクロファージ(Mφ)表面などに存在する、補体C3レセプター、Scavenger receptor、Fcレセプター、レクチンなどにより、侵入した病原体(細菌やウイルス)は、貪食され、クリアランスされる。
病原体の菌体膜成分(LPSなど)は、細胞表面に存在するTLR4/MD-2、TLR2/TLR1、TLR2/TLR6によって、認識される。
ウイルス由来のDNA、RNAは、細胞内顆粒に存在するTLR3、TLR7、TLR8、TLR9によって、認識される。
TRL(Toll様受容体)には、TLR1〜TLR10の存在が知られているが、TLR8とTLR10の機能は、判明していない。TLR1、TLR2、TLR4、TLR5、TLR6は、細胞表面に存在し、TLR3、TLR7、TLR9は、細胞質内のエンドソームに存在する。
TLR1は、TLR2と、ヘテロ二量体を形成し、ペプチドグリカンや、細菌由来のリポペプチド(トリアシルリポペプチド)を、認識する。
TLR2は、TLR1や、TLR6と、ヘテロ二量体を形成する。
TLR3は、dsRNA(二本鎖RNA:ウイルス由来)を、認識する。
TLR4は、MD2と会合して複合体を形成して、LPS(エンドトキシン)、リポタイコ酸、リピッドAを、認識する。LPSは、血清中では、LBP(LPS binding protein:肝臓で生成される)と、LPS/LPB複合体を形成する。TLR4、MD-2、CD14は、LPSレセプター複合体を形成し、LPS/LPB複合体を認識(受容)する。TLR4は、マクロファージ以外に、腸粘膜上皮細胞、胃粘膜上皮細胞にも発現している。ピロリ菌(H. pylori)から分泌されるリポ多糖類(LPS)は、TLR4に結合し、サイトカインのIL-8産生を誘導し、胃粘膜の炎症(胃炎)が起こる。
TLR5は、フラジェリン(細菌の鞭毛に含まれる)を、認識する。TLR5は、腸管の上皮細胞の毛細血管側に存在する。生体は、腸管の上皮細胞表面に存在する腸内細菌(常在細菌)に対しては、免疫寛容を誘導するが、腸管粘膜を越えて侵入した腸内細菌に対しては、TLR5などで、認識し(感知し)、免疫応答をする。
TLR6は、TLR2と、ヘテロ二量体を形成し、マイコプラズマ由来のリポペプチド(細菌由来のリポペプチドとは、アシル基が異なる)を、認識する。
TLR7は、ssRNA(一本鎖RNA)や、イミダゾキノリン(抗ウイルス薬)を認識する。
TLR9は、非メチル化CpGDNA(細菌のDNA:哺乳類のDNAは、C-Gの Cの部分が、メチル化されている)を、認識する。クロマチン構造は、DNAメチル化や、ヒストン修飾により、転写活性が調節される(エピジェネリック制御)。CpG(シトシン-グアニン)は、哺乳類では、メチル化が最も高頻度に認められるジヌクレオチド。CpA(シトシン-アデニン)や、CpT(シトシン-チミン)残基も、メチル化が認められる。
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