こういうの、フツーの人はご存じないだろうし。私の電子書籍編集話は過去記事を読んでもらうことにして、さっそく本題に。
アップルがアプリをAppStoreで受け付けるかどうか、独自に審査しているのはご存じだろうか。その基準すら明確にしていなかったが、去年ガイドラインを出した。とはいえ現在でも審査に落ちた理由を明確に教えてくれないらしい。これが大きな軋轢をアプリ開発者に生んでいた(電子出版でなくもっと広い世界で)。ちなみにAndroidMarketには審査はない。
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私が聞いた範囲では、発端は去年のこと。電子出版よりもう少し広い世界の話だ。なんだかある種のアプリが、アップルの審査に時間が掛かるようになり、拒絶される割合も増えてきたという「噂」が、さざ波のようにそこはかとなくIT業界・電子出版業界に広まっていった。
それは、他で買ったコンテンツをiPhoneなりiPadなりで利用できる機能が付いたアプリ。
「なんだろうなあ」という話だったのだが、その後、拒絶理由について関係者からの話がこれまたなんとなく伝わってくる。まあ聡い人の間のひそひそ話だ。
その後、その理由やアップルの新方針がドイツの雑誌で報道され、一挙に業界が蜂の巣をつついたような騒ぎになったので� ��誰の目にも明らかになった。
それは要するに、「AppStoreで買ったもの以外が見られるアプリは御法度である」というようなことだった。
これがすべてそうなるのか、アップルのお気に召さない企業にだけ恣意的に運用されるのかは不明だ。
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「AppStoreで買ったもの以外が見られるアプリは御法度である」という意味、一般の人にはもたらす影響がわかりにくいだろう。順次解説する。
まず、電子出版の読者の立場から言えば、マルチデバイスで見られる電子書籍とかいうものが、成り立たなくなる。つまりどっかで一度買ってIDなり取っておけば、パソコン・iPad・アンドロイド端末のすべてで読める書籍とか雑誌。もう無理。なぜならAppStoreで買うしかないから。
現実にマルチデバイス購読を打ち出したサービスでは、修正を余儀なくされつつあるという噂だ。具体的にはAppleデバイスを除いた部分でやるとか。
たとえば、ソニーが電子ブックリーダーを売っていることはご存� ��だろう。読みたい本を「Sony Reader Store」で買う。ここで買った電子書籍をiPhoneで読めるようにするアプリをソニーがAppStoreで配布しようとして、拒絶されている。
また、アマゾンはkindle用電子書籍を同様にiPhoneで読めるアプリを配布しているが、アップルの方針転換でこれもいずれ潰されるだろう。
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アップルにこうされてはソニーもアマゾンも「AppStoreで買った本はこちらでは読めません」と対抗手段を取らざるを得なくなる可能性が高い。
ポイントはグーグルで、アンドロイド陣営が他社を受け入れれば、アップルVSその他連合に「読める本・デバイス・電子書店」が二分される。受け入れなければもうこれはつまり、コンテンツとデバイス&電子書店が1対1で紐付けられることになる。読者は不便だ。
もちろん、困るのは読者だけではない。電子出版を手掛ける出版社は当然辛い。このあたりの動向とかアップルのゴーマン対応の実際とか司直の動きは明日のエントリーで書くが、やはりまだ電子出版に参入するのは早いかも� ��。
私は電子書籍市場を信じたから自ら手を上げて仕事としてやってるけど、もっと市場がはっきりしてから取り組んだほうが、企業・著者とも全員ハッピーでしょうこんな体たらくでは。アーリーアダプターを除けば多分読者も同じ。まあ毎度「日本は遅れてる」調で大衆煽ってメシ食ってる評論家の方々は別意見だろうけど。
私も正直手を上げたのをちょっと後悔してる。売れ行きが紙より段違いに悪いだけで死ぬほど苦労してるのに、取次よりよっぽどタチ悪い流通が現れるとはなあ(笑)。賽の河原かここは。
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